No.119 (アロー戦争と太平天国の乱)  : 

清の最初の改革とその弱点とは何か?」

洪秀全による太平天国の運動(1851〜64年)やアロー戦争(56〜60年)敗北の
反省から,清は改革を決断。前者の鎮圧に活躍した郷紳(地方の有力地主で士
大夫)の漢人官僚による外国との和親,西洋文明を導入するための洋務運動は,
「同治の中興」と呼ばれる安定期を実現させる。しかし,これは一時的なもの
にすぎず,官僚たちの「中体西用」の立場は清の支配体制の維持にとどまった。


<評価の観点>
関心・意欲・態度:

清朝末期と同時代のロシアにおいても,敗戦の反省や自国の後進性の自覚に基
づく「上から」の近代化が推進されていたことと重ね合わせることにより,大
きな関心を持って学習に臨んでいる。


思考・判断:

洋務運動における「中体西用」の考え方や洋務官僚による工場や軍隊の私物化
と,日本の「和魂洋才」や国営工場の民間への払い下げ等を比較することで,
彼我の近代化の共通点や相違点について考察している。


資料活用の技能・表現:
洋務運動によって新設された北洋海軍の予算が,西太后の離宮である頤和園の
改修費に使われたことを示す資料を見ることで,政界の腐敗等による改革の不
徹底ぶりを実感している。

知識・理解:
太平天国の乱鎮圧に活躍した郷紳層を中心に,漢人官僚が担った列強との和親
政策や洋務運動の内容と,それが不徹底であると同時に,清朝の体制維持にと
どまるものでしかなかったことについて,基本的な知識を身につけている。